1956年 アメリカ映画 ジョージ・シドニー監督
(The Eddy Duchin Story)
NHK FMでは1985年から2005年にかけて、 正味13年間パーソナリティ(選曲・構成・DJ)を務めた。
長い年月、ご一緒した”きんさん”という ニックネームのディレクターを想い出す。彼は長年”ジャズ”と名のつくほとんどの番組に携わり、 アン・バートンほか、録音にも立ち合ったおかた。 「美加ちゃんのお父さんとは、FMが実験放送だったころに一緒だったよ」とも話してくれた。
生番組ゆえリクエストも毎週たくさん来る。 ジャズ・ヴォーカル番組のなかにシネマのコーナーも 設けていたため、サウンドトラックのリクエストも多かった。 そのなかで人気のあった映画のひとつが『愛情物語』である。
きんさんも「エディ・デューチン物語、キム・ノヴァク、 良かったねえ」なんて言っていたっけ・・・
エディ・デューチンはカーメン・キャヴァレロ (本作サントラ担当)やリベラーチェの先輩格に当たる ピアニスト。 ジャズしか聴いて来なかった美加が詳しいはずはないが、 きんさんや我が父母の年代は、 戦後の日本にアメリカやラテン系の音楽が どんどん入ってきた時代に、 様々なジャンルの洋楽を吸収していたよう。
エディに扮するタイロン・パワー、 愛妻でパトロン的存在でもあったマージョリーには 妖艶なキム・ノヴァク。 今回、観なおして、心なごむシーンに気づいた。 従軍中のエディがミンダナオ島で、 戦禍により焼け出されたピアノを ポロンポロンと弾いていると、 現地の小さな男の子がそばに来る。 エディはベース音を二本の指でリズムをキープして 押さえるように教え、 ”CHOPSTICKS”を派手にアレンジして盛り上げ、 集まった兵士や現地人たちの大喝采を受ける。 男の子にキスされ、離れている一人息子を想い出す。 こんなシーン、すっかり忘れていた! ちなみにエディ・デューチンとタイロン・パワー、 ともに男盛りで亡くなったエンタテイナーであった。
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