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執筆者の写真大橋美加

No.98『エスター』

更新日:2023年5月5日

2009年 米・カナダ・独・仏 合作映画 ジャウム・コレット=セラ監督 (Orphan)

「すこし与えて、すこし受けとって、すこし心が傷つくのが愛。              世界に見放されても、二人で手を取り合うのが愛の勝利」 ビリー・ヒルが1936年に作った”Glory of Love”の歌詞である。 ステージでも歌い、レコーディングしたこともあるMy favorite songのひとつ。

ジャズ・シンガーに限らずジャンルを超えて歌われている一曲であり、 映画でも『招かれざる客』(’67)『フォーエヴァー・フレンズ』(’88) 『素晴らしき日』(’96)などでフィーチュアされてきた。 そう、愛の応援歌とでも言うべき内容だものね! この愛すべき曲が、ホラー映画の隠れたテーマソングになろうとは、 想像だにしなかった。本作を知るまでは・・・。

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第三子を死産した妻とその夫は、互いに問題を抱えながら、 女子孤児院で利発な9歳の美少女を見初め、養子に迎える。 少女の大人びた態度や言葉が、 妻に疑惑を抱かせるのに時間はかからなかった。 さあ、一家の運命や如何に・・・。

ホラー映画の質は、実は映像でなく脚本で決まると信じる。 只のこけおどしで終わるか、 心にひっかかる寓話性を持つかの分かれ道であるから。 いずれも緊張感あふれる『ゆりかごを揺らす手』(’92) 『危険な遊び』(’93)などが彷彿となる。 最後に天才漫画家・楳図かずお作品『赤んぼ少女』の悲劇を加えた、 ショッキングな一作と呼びたい。 それにしても、バルセロナ出身のセラ監督、 なぜ”Glory of Love”を本作に散りばめたのだろうか・・・謎!

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