1955年 アメリカ映画 エリア・カザン監督
(East of Eden)
ジェームス・ディーンの名前は、 娘時代に聴いた矢沢永吉の『サブウェイ特急』の歌詞で知った。 ほどなく”名画座少女”となり、 本作『エデンの東』でジミー扮するキャルと出会った。
我が青春をたぐり寄せる。
舞台は1917年、カリフォルニア州サリナス。 キャルは不審な行動を繰り返す、陰のある若者。 敬虔なクリスチャンである父アダムと、 父に従順な自慢の息子である双子の兄アーロンとの間で、 疎外感にまみれている。 出産後に死んだと聞かされている母を探すことで、 何とかアイデンティティを見い出したいキャル。
子は親を選べず、親も子を選べないが、 子の人格形成はすべて親の責任となる。 複雑な家庭環境に育ったため、初めて観たときは、 この上なくキャルに感情移入し、ともに涙したっけ・・・
今回、久々に観かえして驚いた。 残酷に思えた父・アダムの心情を理解してしまったのだ。 長い年月を経て自分も親になり、子らを巣立たせた今だからだろうか。
ジミーはこの初主演作でオスカー・ノミニーとなり、スターの仲間入りを果たした。
何度観ても”ONE AND ONLY”の演技である。
『理由なき反抗』(’55)『ジャイアンツ』(’56)の三作品を遺して24歳の命を燃やした。
猫背と上目づかいのピーター・パンは、永遠に映画のなかに封じ込められたままである。
Comments