1970年 フランス映画 ルネ・クレマン監督
(Rider on the Rain)
ルネ・クレマン作品と言えば、 まっさきに浮かぶのは『太陽がいっぱい』(’60)だろうか。 アラン・ドロンの妖しいまでの美しさ、 子どもの頃にテレビで観た野沢那智吹き替えヴァージョンから、 字幕ヴァージョンまで、何回も観ている。 本作も確か、初めて観たのは子どもの頃の吹き替え版であり、 マルレーヌ・ジョベール演じる若い人妻が暴漢に襲われる ショッキングな滑り出しに恐怖を覚えたことを想い出す。
主演のチャールズ・ブロンソン扮する謎の男はすこし遅れて登場する。 先日紹介した『赤い矢』(’57)での引き締まった肉体美と面差しから 10年以上経過し、シワの多い老け顔になっているが、 我々の世代がブロンソンと言えば、この顔!そう、マンダム!! ブロンソンとはおしどり夫婦として知られたジル・アイアランドが、 脇役ながら大輪の花を添える。この時代のジル、まさにバービー人形。
マルレーヌは全編に渡り白の衣裳しか纏わず、如何にもパイロットの若奥様らしい いで立ちだが、少女時代のトラウマを抱えていたり、 夫との間に得も言われぬわだかまりが感じられるなど、不安を煽る演出。 南仏の青空より雨が際立ち、俳諧にある”白雨”という言葉を想起させる。 洗練されたフランシス・レイのテーマも、効果大。 胡桃を窓枠にぶつけて割り、食べるブロンソン。 ガラスが割れたら、恋をしている証拠なんだって! うわあ、ついていけない! オトコの世界だあああああ!
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