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No.373『大地のうた』

1955年 インド映画

サタジット・レイ監督

『大地のうた』


サタジット・レイはインド映画を世界に知らしめた映画作家。


本作は1980年代に初めて観た記憶があり、

近年にも二回、観なおしている。





舞台となるのは1920年代、ベンガル地方の村。


竹林に木漏れ陽を降らせ、

魔除けの如き面差しの老婆を配置するサタジット・レイ。


あっという間に観客は、

映画の世界に取り込まれてしまう!


ある一家。

教養はあるが生活力のない主。


貧困家庭の苦労を一身に背負う妻。


両親の価値観の相違をけどるためか、

不可思議な行動をする娘。


そして、生まれ来る息子のオプー。


オプーの黒目勝ちな瞳は圧倒的に美しく、

クロース・アップに映える。


黒澤の『羅生門』(’50)にインスパイアされたという

幻想的な映像美は、

一度観たら忘れられないインパクトを残す。


ラストにオプーが川に投げ捨てる首飾りに群がる水草は、

宿命に対する敵か味方か…?

余韻さめやらぬラストである。


機会があれば、“オプー三部作“

『大河のうた』(’56)『大樹のうた』(’59)

すべて鑑賞してみては?

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