No.373『大地のうた』大橋美加4月1日読了時間: 1分1955年 インド映画サタジット・レイ監督『大地のうた』サタジット・レイはインド映画を世界に知らしめた映画作家。本作は1980年代に初めて観た記憶があり、近年にも二回、観なおしている。舞台となるのは1920年代、ベンガル地方の村。竹林に木漏れ陽を降らせ、魔除けの如き面差しの老婆を配置するサタジット・レイ。あっという間に観客は、映画の世界に取り込まれてしまう!ある一家。教養はあるが生活力のない主。貧困家庭の苦労を一身に背負う妻。両親の価値観の相違をけどるためか、不可思議な行動をする娘。そして、生まれ来る息子のオプー。オプーの黒目勝ちな瞳は圧倒的に美しく、クロース・アップに映える。黒澤の『羅生門』(’50)にインスパイアされたという幻想的な映像美は、一度観たら忘れられないインパクトを残す。ラストにオプーが川に投げ捨てる首飾りに群がる水草は、宿命に対する敵か味方か…? 余韻さめやらぬラストである。機会があれば、“オプー三部作“『大河のうた』(’56)『大樹のうた』(’59)すべて鑑賞してみては?
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