1982年 アメリカ映画
クリント・イーストウッド監督
『センチメンタル・アドベンチャー』
(Honkytonk Man)
若き時代にクラブでピアノ演奏をしていた
クリント・イーストウッドだが、
映画作品群のなかで
ピアノを弾く姿が観られるのは二作だけのはず。
まずは、イーストウッド映画として珍しいタイプの本作、
ジャズ通として知られる彼が、
大恐慌時代を背景に、身を持ち崩した中年のカントリー歌手レッドに扮する。
イーストウッドの実子で当時14歳であったカイルが
甥っ子ホイットに扮し、
ナチュラルでチャーミングな魅力を発揮。
酔っ払いのレッドに代わり車の運転をしたり、
鶏泥棒を手伝わせられたり、
娼館に連れていかれたりと、大奮闘。
本作を初めて観たときは、
193センチの長身に がっしりした体躯の イーストウッドの歌声が
あまりに繊細なことに驚いた。
「歌には人となりが出る」と母に言われて育ったため、
この人は意外に気が弱く
優しいオトコなんじゃないかしらと想像したものだ。
受け継がれてゆくものは、目に見えないもの。
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