大橋美加5月23日No.333『スコルピオンの恋まじない』2001年 アメリカ映画ウディ・アレン監督『スコルピオンの恋まじない』 (The curse of the Jade Scorpion)ウディ・アレンの人を喰ったユーモア・センスが炸裂する、1940年代を舞台にした一作。ウディ扮する古いタイプの保険調査員と、オスカー女優ヘレン・ハントが演じる世代下の女性重役を中心に、奇想天外なラヴ・コメディが繰り広げられる。セピアがかった映像処理と、フランク・キャプラ、ビリー・ワイルダー作品に登場するようなセットは、多作家である彼の作品群のなかではhigh-budgetではないか。マジシャンが絡むプロットは、オムニバス映画『ニューヨーク・ストーリー』('89)に於けるセルフ・パロディとも受けとれ、やかましいママを消した後に今回は何が起こるか?と期待大…ジャズソングを活用し続けてきたウディである。今回も何曲かfeatureされるが、テーマソングに持ってきたのはエリントン・ナンバー"Sophisticated lady"凝ったメロディ・ラインと、空虚に生きるワケアリ婦人をうたった歌詞を持つ意味深な一曲。大スターがノーギャラでも出たがると言われていた時代のウディ作品、今作にはシャーリーズ・セロンが艶やかなセクシー・ガールに扮し、ウディと観客に目の保養をさせてくれるのも楽しい。「恋なんて所詮いっときのマジックさ」と、洒落ながらも人生を賭けてきた、初老オトコの束の間の夢の如き、愛すべき一作である。
2001年 アメリカ映画ウディ・アレン監督『スコルピオンの恋まじない』 (The curse of the Jade Scorpion)ウディ・アレンの人を喰ったユーモア・センスが炸裂する、1940年代を舞台にした一作。ウディ扮する古いタイプの保険調査員と、オスカー女優ヘレン・ハントが演じる世代下の女性重役を中心に、奇想天外なラヴ・コメディが繰り広げられる。セピアがかった映像処理と、フランク・キャプラ、ビリー・ワイルダー作品に登場するようなセットは、多作家である彼の作品群のなかではhigh-budgetではないか。マジシャンが絡むプロットは、オムニバス映画『ニューヨーク・ストーリー』('89)に於けるセルフ・パロディとも受けとれ、やかましいママを消した後に今回は何が起こるか?と期待大…ジャズソングを活用し続けてきたウディである。今回も何曲かfeatureされるが、テーマソングに持ってきたのはエリントン・ナンバー"Sophisticated lady"凝ったメロディ・ラインと、空虚に生きるワケアリ婦人をうたった歌詞を持つ意味深な一曲。大スターがノーギャラでも出たがると言われていた時代のウディ作品、今作にはシャーリーズ・セロンが艶やかなセクシー・ガールに扮し、ウディと観客に目の保養をさせてくれるのも楽しい。「恋なんて所詮いっときのマジックさ」と、洒落ながらも人生を賭けてきた、初老オトコの束の間の夢の如き、愛すべき一作である。
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