大橋美加4月16日No.328『砂の器』1974年 日本映画 野村芳太郎監督 『砂の器』新宿の大きな映画館で観た、忘れられない一作。テーマソング『宿命』を作曲し、劇中でピアノ演奏をしていたのが菅野光亮氏であり、今や伝説となったライヴハウス『アレキサンダー』で、当時我が母と菅野氏は毎月共演していたことを覚えている。手掛かりのない殺人事件を、執念で追いつめる刑事たちが辿り着く、人間の"宿命"深い恩義をも超えられない血縁と絆を、限りなく映画的に表現した力作である。加藤剛が指揮棒を振ると、オーケストラがスクリーンを揺さぶり、遍路姿の親と子があらわれる演出の見事なこと!怪優・加藤嘉と、天才子役・春田和秀の奇跡のコラボレイションでありながら、観客の涙を煽り過ぎない抑制が利いている点を特に評価したい。風が吹き荒んでも、波が打ち寄せても、砂の器を作り続ける少年のシルエットは、永遠に映画ファンの心から消えることはないだろう。耳と心に充満する旋律を遺し、 44歳で他界した菅野光亮氏に一度だけ伴奏していただいた想い出も、永遠である。
1974年 日本映画 野村芳太郎監督 『砂の器』新宿の大きな映画館で観た、忘れられない一作。テーマソング『宿命』を作曲し、劇中でピアノ演奏をしていたのが菅野光亮氏であり、今や伝説となったライヴハウス『アレキサンダー』で、当時我が母と菅野氏は毎月共演していたことを覚えている。手掛かりのない殺人事件を、執念で追いつめる刑事たちが辿り着く、人間の"宿命"深い恩義をも超えられない血縁と絆を、限りなく映画的に表現した力作である。加藤剛が指揮棒を振ると、オーケストラがスクリーンを揺さぶり、遍路姿の親と子があらわれる演出の見事なこと!怪優・加藤嘉と、天才子役・春田和秀の奇跡のコラボレイションでありながら、観客の涙を煽り過ぎない抑制が利いている点を特に評価したい。風が吹き荒んでも、波が打ち寄せても、砂の器を作り続ける少年のシルエットは、永遠に映画ファンの心から消えることはないだろう。耳と心に充満する旋律を遺し、 44歳で他界した菅野光亮氏に一度だけ伴奏していただいた想い出も、永遠である。
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