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執筆者の写真大橋美加

No.318『ジェラシー』

1979年 イギリス映画 ニコラス・ローグ監督

(BAD TIMING)

グスタフ・クリムトは好きな画家の一人だが、
彼の絵が象徴的に使用された映画が本作。 ウィーンを舞台に、デコラティヴで頽廃的な愛欲の顛末が、 あたかも万華鏡を覗くように散りばめられていく。




男は精神分析医のインテリ。 アート・ガーファンクルが神経質な雰囲気を醸し出す。


女は少女っぽさの残る顔を厚化粧で覆い、

束縛を拒みながら破滅へ突き進む。

演じるのは本作が縁で ニコラス・ローグ夫人となったテレサ・ラッセル。

二人とも、まさに体当たりの演技。


ことにミュージシャンであるガーファンクルは

「ここまでやるか?」の全裸ベッドシーン!

愛憎の上塗りに、観客は息苦しくなってくる。

救いのない関係をやり過ごすために、 音楽が効いている。

トム・ウェイツで始まり、 ビリー・ホリデイで幕を閉じる物語。


今回、観なおしたところ、ビリーのヴォーカルは、

ラストの”It's the same old story“だけでなく、

”I'll be seeing you“も前半に少しだけ流れていることに、 改めて気づかされた。

20代のころ通い詰めた 「シネマスクエアとうきゅう」のオープニング作品としても

心にこびりついている一作である。


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