大橋美加2月12日No.317『終電車』1980年 フランス映画 フランソワ・トリュフォー監督『終電車』(LE DERNIER METRO)両手に男を従えて、ステージから客席に笑顔をふりまく。苦悩も葛藤も胸に仕舞い、仮面の笑顔を。カトリーヌ・ドヌーヴにふさわしいラスト・シーンである!舞台となるのは1942年、 ドイツ軍に占領されたパリ。ドヌーヴ扮する『モンマルトル劇場』の看板女優は、ユダヤ人で演出家である夫に代わり、劇場の灯を守っている。そんな折にジェラール・ドパルデュー扮する新作の相手役が現れる・・・才能ある年下の役者を、素気無くかわす看板女優。敬愛している年かさ夫との間で揺れる心をマネキン人形のような美しさで覆い隠すドヌーヴがイイ。抑圧された官能美を表現できる女優なのである。 ”恋のシネアスト”トリュフォーが、思う存分に奏でる、苦境の恋のトライアングル。恋情が深まり、堰を切ったようにあふれ出す瞬間の演出のうまさ。観客の鼓動も高まり、映画館の暗闇が恋の色に染まるのだ!生命が脅かされようとも、消すことはできない芸術のともしび、恋の炎。目には見えない情熱を糧に、舞台に立ち続けた役者たち。”バックステージもの”としても、忘れることの出来ない力作である。
1980年 フランス映画 フランソワ・トリュフォー監督『終電車』(LE DERNIER METRO)両手に男を従えて、ステージから客席に笑顔をふりまく。苦悩も葛藤も胸に仕舞い、仮面の笑顔を。カトリーヌ・ドヌーヴにふさわしいラスト・シーンである!舞台となるのは1942年、 ドイツ軍に占領されたパリ。ドヌーヴ扮する『モンマルトル劇場』の看板女優は、ユダヤ人で演出家である夫に代わり、劇場の灯を守っている。そんな折にジェラール・ドパルデュー扮する新作の相手役が現れる・・・才能ある年下の役者を、素気無くかわす看板女優。敬愛している年かさ夫との間で揺れる心をマネキン人形のような美しさで覆い隠すドヌーヴがイイ。抑圧された官能美を表現できる女優なのである。 ”恋のシネアスト”トリュフォーが、思う存分に奏でる、苦境の恋のトライアングル。恋情が深まり、堰を切ったようにあふれ出す瞬間の演出のうまさ。観客の鼓動も高まり、映画館の暗闇が恋の色に染まるのだ!生命が脅かされようとも、消すことはできない芸術のともしび、恋の炎。目には見えない情熱を糧に、舞台に立ち続けた役者たち。”バックステージもの”としても、忘れることの出来ない力作である。
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