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執筆者の写真大橋美加

No.305『白いリボン』

更新日:2023年11月16日

2009年 独・オーストリア・仏・伊合作映画  ミヒャエル・ハネケ監督 (Das weiße Band)

見たくない、知りたくない、人間の性(さが)や業(ごう)を、 無感情にも生々しく見せつけるミヒャエル・ハネケ。 『ピアニスト』(2001)『隠された記憶』(2005)などの 問題作で映画ファンを悩ませ、 ついにカンヌでパルムドールに輝いたのが本作。 舞台となるのは第一次世界大戦の影が忍び寄る 1913年の北ドイツ。 静かな村で暮らす人々を、 研ぎ澄まされたモノクロームの映像美で映し出してゆく。



月日を費やし、抜擢・配役されたという 子どもたちの顔が心から離れない。 目の下をくぼませた少年。 全てを見透かしているような少女。 無邪気さの陰に諂(へつら)いが見える幼児。 この子どもたち、怖い。 閉鎖的な村で次々と起こる、陰惨な出来事。 事件を提示し、

観客に解決を見せようとしない

ハネケの作風は、 思わせぶりで冷酷と受け取られがちだが、 本作に於いては、時を遡った物語から

呼び醒まされる彼の本質(本音)を

垣間見ることが出来る部分もあるのだ。 目を見開き、耳をそばだてて欲しい!

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