2009年 独・オーストリア・仏・伊合作映画
ミヒャエル・ハネケ監督 (Das weiße Band)
見たくない、知りたくない、人間の性(さが)や業(ごう)を、 無感情にも生々しく見せつけるミヒャエル・ハネケ。 『ピアニスト』(2001)『隠された記憶』(2005)などの 問題作で映画ファンを悩ませ、 ついにカンヌでパルムドールに輝いたのが本作。 舞台となるのは第一次世界大戦の影が忍び寄る 1913年の北ドイツ。 静かな村で暮らす人々を、 研ぎ澄まされたモノクロームの映像美で映し出してゆく。
月日を費やし、抜擢・配役されたという 子どもたちの顔が心から離れない。 目の下をくぼませた少年。 全てを見透かしているような少女。 無邪気さの陰に諂(へつら)いが見える幼児。 この子どもたち、怖い。 閉鎖的な村で次々と起こる、陰惨な出来事。 事件を提示し、
観客に解決を見せようとしない
ハネケの作風は、 思わせぶりで冷酷と受け取られがちだが、 本作に於いては、時を遡った物語から
呼び醒まされる彼の本質(本音)を
垣間見ることが出来る部分もあるのだ。
目を見開き、耳をそばだてて欲しい!
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