1984年 ギリシャ映画 テオ・アンゲロプロス監督
(TAXIDI STA KITHIRA )
こんなに素晴らしいファースト・ショットだったか!
幼い少年がドイツ兵をからかって追われ、逃げる。
くるくると迷路のように家々の間を抜け、一軒の扉を引っ張るが開かない。
走り、別の扉を必死で引く少年。やはり開かなく、膝を抱えて座り込む…
40年近く前に劇場で観たきりの本作を、感動に包まれて観なおす。
革命・亡命・帰還・再追放。
険しい地図さながらの顔面を掲げた老人と、
時の止まった老妻。
愛は萎びた林檎、
されど腐ることはない。
凝った奥深い作品ではあるが、
"魂の拠り所”の有無は誰にもわかるはず。
悲劇的な絵画のような
アンゲロプロス・ワールドに耽溺して欲しい!
一度だけ、アンゲロプロス監督にお会いしたことがある。
"長回しの巨匠”の異名でマニアックな 映画ファンたちの注目を集めるなかでの
来日記者会見の席であった。
1時間の会見で、たった3問の質疑応答は超珍しいケース。
1問に20分くらいかけて答えるのだから、
「さすが長回し!」と呟く声もちらほら…
事故死さえなかったら、 現在も映画を撮り続けていたに違いないよなあ…
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