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執筆者の写真大橋美加

No.292『ジンジャーとフレッド』

1985年 イタリア映画 フェデリコ・フェリーニ監督

(Ginger e Fred)

愛しく酷い再会。

嘗てフレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースの物真似で

人気を博した男と女が30年ぶりで顔を合わせる物語。

男に扮するのはフェリーニの分身を演じてきた名優

マルチェッロ・マストロヤンニ。

女はフェリーニの妻にしてミューズであった

ジュリエッタ・マシーナ。

何とこの御両人、本作が初共演!


公開当時は、

「フェリーニのテレビに対する風刺劇」という触れ込みであったが、

40年近く経って観かえすと、

アンチ・テレビは飾り付けであると気づく。

永遠の銘作『道』(’54)以来、

フェリーニが本気で向き合わなかった男と女のドラマであり、

『道』へのアンサー・シネマなのではないかとさえ思えてくる。

女は男の人生の拠り所、

"HOME”を失った男の哀れを

ザンパノとは違う姿で

描きたかったのではないかしら…

ともあれ、フェリーニの頭の中には

往年のジャズソングが鳴り響いているのだと

来日記者会見で宣ったものだ。

本作でも十分に聴けますよ!

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