1977年 アメリカ映画 フレッド・ジンネマン監督
(Julia)
寝間着姿の少女がふたり、
ジャズソング”My Blue Heaven"に合わせて踊る。
未だ胸の内に秘めたままの情熱を、言の葉で繋いでゆく。
嘗て少女であったなら、幾度でも反芻できるシーンである。
憧憬から思慕、そして敬愛に育ったはずの感情が、
いつしか命がけの献身へと発展せざるを得なくなる数奇な運命。
時代と思想の狭間で、
反ナチ危険分子としてマークされた一人の女と、
彼女のために友情と愛を捧げたもう一人の女。
ヴァネッサ・レッドグレイヴが闘士ジュリアに、
ジェーン・フォンダが実在の作家リリアン・ヘルマンに扮する。
底が浅いと言われがちな女同士の友情を、 瀬戸際までせり上げて本物にしてしまう演出。
リリアンの遣り場のない想いが観客の心を波立たせる。
男性の存在が稀薄なストーリーの中、
ダシール・ハメットに扮する ジェイソン・ロバーツの余裕ある演技も忘れがたい。
ちなみに劇中で語られるリリアンの出世作"Children's Hour”の
映画化であるオードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーン主演
『噂の二人』('61)は"ウ”の項で挙げているのでご覧あれ。
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