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執筆者の写真大橋美加

No.287『知りすぎていた男』

1956年 アメリカ映画 アルフレッド・ヒッチコック監督

(The Man Who Knew Too Much)


オーケストラに於けるシンバルの出番がフィーチュアされる

ファースト・ショットから胸騒ぎ…


ジェイムズ・スチュワート扮する医師ベンと、

ドリス・デイ扮する妻で歌手のジョー夫妻が、

幼い一人息子ハンクを連れて、モロッコ旅行に来ている。


エキゾティックな雰囲気たっぷりの見せ場が続くなか、

一家はヒッチお得意の"巻き込まれ型ファミリー”と相成る!


謎の男に扮するのは、フランス映画界のスター、ダニエル・ジェラン。

夫妻がキイワードを手繰り辿り着いた剥製製造所、

怪しげな教会などなど、ヒッチの腕が冴え渡る。

終盤近く、歌手であり母であるジョーが、

オスカーを受けた歌曲”ケ・セラ・セラ"を歌うシーンは、何度観ても涙がこみ上げる。

「人生は成るように成る」なんて思ったことは、一度もないのに!

ニヒリストのヒッチによる親子の人情劇は珍しく、おまけにキメどころが粋。

オリジナルも観たはずだが、やはりセルフ・リメイクの本作が強い。

"Mother's Voice”により、強化されているのである!

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