1952年 アメリカ映画 ジョン・フォード監督 (The Quiet Man) ”イニスフリー"という夢みるような名を持つ
アイルランドの村に、ジョン・ウェイン扮する男が帰ってくる。 燃えるような赤毛と情熱を秘めた大きな瞳の女と目が合う。 アイリッシュ・ビューティといえば、モーリン・オハラ。 ジョン・フォード✕ジョン・ウェインの組み合わせとはいえ、 一連の西部劇とは違う趣の作品。 ジョン・フォード監督自身の郷愁に彩られているのである。
列車が着くたびに降り立つ人を物色する駅員やヒマそうな主婦。 喧嘩が起これば便乗して勝ち負けをギャンブリングにしてしまう男たち。 見た目は素朴だが、心に種火を宿している女たち。 詩情豊かなアイルランドの大自然も、忘れがたい印象を残す。 名作『我が道を往く』('44)でも知られる バリー・フィッツジェラルドが、狂言回し的役柄で、名脇役ぶりを見せる。
飲んで歌って、殴り合って意気投合する。 人間の営みはこんなにも単純明快だったんだなあと、 呆れながら微笑ましくもなってしまう。 "イニスフリー”は魔法の村なのである!
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