1947年 アメリカ映画 エリア・カザン監督
(Gentleman’s Agreement)
人種差別とはいったい何だろう。
対象となる人々を責め立てることか。
それとも自分の優越感を満足させることなのか。
何の権利があって、人は人を差別できるのだろうか。
殊に宗教絡みの差別となると、我々日本人には理解しにくいテーマ。
グレゴリー・ペックが扮するジャーナリストが
8週間ユダヤ人になりすますことにより、
人種差別の実態を探ろうとする本作は、
アカデミー賞に於ける作品賞・監督賞・助演女優賞をもたらした。
イングリッド・バーグマンやオードリー・ヘプバーンを 向こうに回すスターである
グレゴリー・ペックのカッコ良さは別として、
エリア・カザン作品の中では派手さのない一作。
飛び交う台詞を反芻し、意味を咀嚼することに追われながら、
登場人物たちの自己欺瞞に気づかされ、ハッとする!
本作に於けるゴージャスな存在であったセレステ・ホルムが
演者で唯一オスカー(助演女優賞)を得た。
ヒロインのドロシー・マグワイアが地味ゆえ、
女王様的で自立もしているホルム扮するアンという女性は
ひときわ妖しい輝きを放っていた。
ペックの幼い一人息子を演じたのは
当時の名子役として売れっ子であったディーン・ストックウェル。
沈黙は助長であると突きつけられる主人公たち。
本作から76年の時が過ぎた今、果たして差別や偏見は?
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