1997年 フランス映画 クロード・シャブロル監督
(Rien ne va plus)
イザベル・ユペールは典雅な面差しと華奢な体つきに似合わない過激な役さえも、
鬼気迫る存在感でこなす当代きっての演技派。
ミシェル・セローを知ったのは、大ヒット・コメディ『Mr.レディ Mr.マダム』(’78)のシリーズ。
女形から迫力ある殺し屋まで、幅広い演技に定評のあるヴェテラン俳優であった。
この二人が詐欺師カップルに扮するのだから、見ものである。
撮影時ユペール43〜44歳、セロー68〜69歳というところか。
ユペールは目の覚めるような赤のジャケットで登場。
ルージュとマニキュアも真紅。
あら、彼女はブロンドのはず。ブルネットはウィッグらしい。
目まぐるしく変わるユペールの出で立ち。
端正だが派手さのない面差しの逆効果か、どんな色の髪も服も似合い美しい!
誰が誰を騙しているのか、観客を撹乱させる脚本。
「最後に笑う者は?」というよりは、
主人公ふたりのキャラクターに重点を於いた、フランス映画らしい一作。
尚、クロード・シャブロル監督出世作『いとこ同士』('59)については
“イ”の項を参照あれ。
Comments