1954年 日本映画 本多猪四郎監督
何十年ぶりに観なおして愕然とする。 畳みかけるような伊福部昭のスコアが禍々しさを煽るタイトル・バック。 見えない恐怖、見せない恐怖。 メイン・キャラクター三人(宝田明・平田昭彦・志村喬)の 不毛な相容れなさ。 只々、狼狽える河内桃子の愛らしき痛ましさ。 ゴジラの出現に、人々の洩らす言葉。
「被爆地からやっと逃げてきたのに、また疎開しなきゃならない」 「天国のお父さんのところへ行こう」などなど、 戦争が深い影を落とす。
今回観なおして、平田昭彦演じる科学者と、
スタンリー・キューブリック作品『博士の異常な愛情』(‘64)で
ピーター・セラーズが怪演したドクター・ストレンジラヴのイメージが、
なぜか微妙に重なった。
人類の罪を一身に背負った化身であったはずのゴジラは今や普遍的な偶像となり、
21世紀の我が隣町・新宿のビル上にも、その姿を見せている。
これで良いのか?
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