1974年 アメリカ映画 ジョン・カサヴェテス監督 (Woman Under the Influence)
ひとの心が”こわれる“瞬間を見せつける、怖い映画である。 “インディーズ映画の雄”と定義づけられてきた ジョン・カサヴェテス作品は、 “オ“の項で『オープニング・ナイト』(‘77) “ク“の項で『グロリア』(‘80)を紹介したが、 本作は『アメリカの影』(’59)とは別の意味での 実験的な要素をもつ作品であり、 カサヴェテス作品のオリジナリティを見せつける一作。
子育て中の主婦メイベルに扮するジーナ・ローランズは 言わずと知れたカサヴェテス夫人である名女優、 夫役には別名・刑事コロンボ(笑)のピーター・フォーク。
素朴だが働き者の夫と育ち盛りの三人の子に恵まれながら、 次第に異常な言動が目立つようになっていくメイベル。 あたかも他人の家庭を覗き見るような共犯意識を 我々観客に投げかけるカメラワークと 役者の鬼気迫る演技は、 ストーリー展開とともに凄味を増してゆく。 メイベルに救いはあるのか?
本作での熱演により、数々の賞にノミネート、 受賞も果たしたジーナ・ローランズ。 実生活でも三人の子を映画人に育てあげ、 夫君亡きあとも演技者として表現し続けた。 大ヒットした長男ニック・カサヴェテス監督作 『きみに読む物語』(2004)での、 ジーナの演技に涙した現代若者も多いはず。
映画ファミリーの母、ジーナ・ローランズだが、本作には カサヴェテス監督の母キャサリン・カサヴェテスも 姑役で存在感を発揮している!
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