1996年 アメリカ映画 リー・デヴィッド・ズロトフ監督
(The Spitfire Grill)
意味深で茫漠とした邦題である。 観おわってみて初めて、名付けた配給会社の感じかたが伝わってくるというもの。 アメリカの田舎町を舞台にした映画は興味深く、とりわけ選んで観てきた気がするが、 本作は、まずファースト・シーンに注目したい。
オペレイターらしき大きな瞳の若い女性が、 電話でメイン州の魅力について快活に宣伝している。 次第にカメラが引き鉄格子が見え、刑務所内であることがわかってくる。 この州では受刑女性にこういった仕事を与えているのか。 主人公パーシーはほどなく出所し、鄙びた町に向かっていく。
森がある町、花崗岩が採れる町、人情と猜疑心が混在する町。
若き受難者パーシーに扮するアリソン・エリオット、
オリジナル・タイトルにある食堂(Spitfire Grill)の
女主人を演じるオスカー女優エレン・バースティン、
鬱憤を抱えた心根の良い主婦にマーシャ・ゲイ・ハーデンと、
女優陣がひときわ目立つキャスティング。
戦争や児童虐待など、 人生に拭えない影を落とす問題を提起しながらも、 目を見はるような景観により、浄化される救いをもまた見せてくれる、
余韻の濃い一作。
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