1958年 仏・独 合作映画 ピエール=ガスパール・ユイ監督
(CHRISTINE)
2020年春から、手持ちの映画DVDを観なおしていこうと スタートした”大橋美加のシネマフル・デイズ” ロミー・シュナイダーについて語るのは初めてかも。 本作は1906年ウィーンが舞台のコスチュームものである。
明るいブルー・アイズとブロンド、すこし離れた目、さほど高くない鼻。
絵に描いたような美人ではないが、一度観たら忘れられない面差し。
仕草や表情、とりわけ笑顔が只ひたすら愛らしいロミーを見ていると、
無垢な小動物を守りたいような気持ちにつつまれてしまう。
本作で竜騎兵将校に扮した水も滴る美男子アラン・ドロンと 実生活でも恋に落ちたのが頷ける。
オリジナル・タイトルにある ”クリスティーネ”は、ロミー演じる主人公の名。 チェロ奏者の父と二人暮らしで、 歌姫になることを夢見る二十歳の娘。 オペラ座の出口で「管楽器がうるさい」というパパの台詞が可笑しい。
カラフルでお気楽なラヴ・コメディの如く滑り出し、 急速に様相が変わってゆく後半。まさに邦題が活きてくる。 ロミーの見ひらかれたブルー・アイズが忘れられない。
のちに自身も悲劇の只中に置かれ、43歳の若さで他界したロミー・シュナイダー。
語るに酷い逆縁を経験しての夭折である。
晩年の作品群、ことに遺作『サン・スーシの女』(’82)の存在感は忘れ難いが、
溌溂とした乙女を演じた本作も、ぜひ心に焼きつけて欲しい。
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