1946年 アメリカ映画 ロバート・モンゴメリー監督
(The Lady in the Lake)
実験的な映画は嫌いではない。 むしろ、興味をそそられるほう。 レイモンド・チャンドラー原作の映画化は数あるが、 本作はひときわ稀有な存在。 なにしろ全編、主人公フィリップ・マーロウの目線で 映し出されるのだから! 観客と主人公の目線を同一にという演出、 つまり他の役者は皆、カメラ目線で演技するということ。 では、主人公はどのように画面に登場するのか? それは・・・さあ、ご覧あれ!
チャンドラーの生んだ探偵P.マーロウに扮するのは 監督も手がけたロバート・モンゴメリー。 サスペンスを孕んだ実験的映画といえば、 同時代ですぐに浮かぶのは アルフレッド・ヒッチコック監督作『ロープ』(’48)であるが、 手法は全くの別モノ。
本作『湖中の女』は制約がありすぎるが、 監督が主演を兼ねるというケースゆえ、 前代未聞の”EXAMPLE”となった。
美味しい役どころを演じきるのは、 フィルム・ノワールで真価を発揮した女優オードリー・トッター。 賛否両論ある作品には違いないが、”ハード・ボイルド”の文体を、 特異な演出で描いた果敢な一作と呼びたい。 そもそもマーロウは、 よく罠にハメられたり、殴られたりする。 本作では、そう、貴方が手錠をかけられた気分になるぞ・・・!
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