1964年 仏・伊・スペイン合作映画 クリスチャン・ジャック監督
(La Tulipe Noire)
この季節、軒先にチューリップが満開であり、 臙脂(えんじ)色はたまに見かけるが、 漆黒となるとお目にかかれない。
アレクサンドル・デュマの原作から ”黒いチューリップ”のイメージをふくらませ、 世紀の美男子をダブルで設えて、 捻りの利いたヒーローものとして映画化。 主演はアラン・ドロン!それも二役! この時代のドロンは観ているだけで、得した気分。 28~29歳でありながら、若さと成熟した美貌を兼ね備えている。 ”キ”の項では『危険がいっぱい』(’64)を紹介したので参照してくださいね。
原作はチューリップ栽培に関わるが、 大胆にアダプテイションされた映画に登場するのは咲いている姿でなく、 「ヒーロー参上!」の置き土産的な黒いチューリップのみ。
感心するのは合成シーン、本当に自然にふたり存在するドロン!
58年前の映画だからたいしたもの。
セクシーな兄と純情な弟を巧みに演じ分けるドロンも流石。
冒険活劇にしては含みのあるラストもあとを引く。
そういえば、ドロンはオムニバス映画『世にも怪奇な物語』(’67)の
ルイ・マル編でも二役を演じていたっけ。
フェリーニ編が超コワいのよね。
こちらも観なおしてみようかな。
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