1951年 アメリカ映画 マーヴィン・ルロイ監督
(QUO VADIS)
マーヴィン・ルロイ監督作と言えば、ヴィヴィアン・リー主演の『哀愁』(’40)や、 グリア・ガースン主演『心の旅路』(’42)など、 10代後半から20代前半にかけて、名画座で観た作品が印象深く、 何となく”女性映画の監督”的なイメージを持っていたかも。
歴史大作『クォ・ヴァディス』に於いても、女性の存在が大きな位置を占めている。 ”エレガント・ビューティ”と呼びたいデボラ・カーの美しさが際立つ。
舞台は皇帝ネロが支配するローマ帝国時代。 3年に渡る遠征を終えてローマに凱旋した将軍マーカスに扮するのはロバート・テイラー。 デボラ・カー扮する、美しく毅然とした娘リジアに一目で惹かれるが 彼女が禁制のキリスト教信者であることを知る。
暴君ネロに扮するピーター・ユスティノフが出色。 ぽってりとした童顔の、未熟さを内包するゆえに 残虐なネロを、大きな子どものように息苦しく演じる。 憧憬と信頼を寄せるペトロニウスの最期の手紙を読むシーンは笑えない!
そうそう、ペトロ二ウスに純愛を捧げる
美人奴隷ユーニスに扮したマリナ・ベルティの魅力も忘れ難い。
やはりルロイ監督、女優選びの目に長けている。 戦争は殺戮。止められるのは信仰なのか、人間の心なのか。 ライオンに食い殺されるのも、爆撃されるのも、命を落とすことに変わりはない。 今、観なおして、考えたい一作。
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