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執筆者の写真大橋美加

No.175『キー・ラーゴ』

更新日:2023年4月20日

1948年 アメリカ映画 ジョン・ヒューストン監督 (Key Largo)

映画にはそれぞれ、想い出がある。 ハンフリー・ボガート&ローレン・バコール おしどりコンビの一作である 『キー・ラーゴ』を観るきっかけとなったのは、 我が恩人のひとり、評論家の川本三郎氏からの質問だった。 本作でオスカー(助演女優賞)に輝いたクレア・トレヴァーが歌った 歌曲のタイトルを知りたいとのこと。

確か1990~1991年頃ではなかったかしら? 我が家に録りためたVHSのなかに本作があり、早速チェックした。 「ビリー・ホリデイの歌った ”MOANIN’ LOW”(しのび泣き)です」と報告すると、 大変に喜んでくださった。 クレアはアルコール依存症の元歌手という役であり、 一杯の酒ほしさに無伴奏で歌うシーンであった。

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ボギー扮する元大佐は、部下の戦死を報告するため、 遺族の営む島のホテルへ赴く。 未亡人に扮するのはバコール、車椅子の老父にライオネル・バリモア。 ホテルはギャングに乗っ取られており、 ボスのエドワード・G・ロビンソン登場と相成る。

本作が稀有であるのは、かのボギーが、 E・G・ロビンソンに食われ気味であること! ガマ親分と呼びたい迫力絶大で、 ボギーがすこし弱々しくみえる場面すらあり。 その効果あってか、最後の最後までテンション張り続けるのだ! クレア・トレヴァーは37~38歳、 RKO時代の美貌こそ衰えるも、まだまだ艶やかであり、 オスカーも頷ける力演と言える。

ジャズ界の”おしどりコンビ”と言えばジャッキー&ロイが忘れ難い。 ハンフリー・ボガートにちなんだナンバーを集め たライヴ・アルバム『BOGIE』には、 ベニー・カーターが本作にインスパイアされて作った ”KEY LARGO”も収録されているので、 ボギー・ファンはぜひ聴いて欲しい。

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