1960年 フランス映画 ジャン・リュック・ゴダール監督 (About de souffle)
ジャン・ポール・ベルモンドが亡くなった。 美男子ではない”カッコイイ男”のはしりではなかったか。
我が町・中野には、嘗て名画座が二館あった。 南口駅前地下の『中野名画座』と、サンプラザ側である北口のアーケード脇道にあった 『中野武蔵野館』である。どちらもよく通った。 1970年代後半から1980年代前半にかけて、確か2本立てで¥250~¥300くらいだったかな。
ゴダールの出世作である本作は、『中野武蔵野館』で観た。 青果店の隣の賑やかな一画であった。湿った空気と煙草の匂いを想い出す。 100席くらいはあったのかなあ・・・ 劇場のサイズの割にスクリーンは大きくて、ジャン・ポール・ベルモンドが 分厚い唇を指でなぞるクロース・アップ、お人形のようなジーン・セバーグが、 眉毛をヘアブラシで整えるキュートな仕草が脳裏に焼きついている。
パリを舞台に、チンピラ青年とアメリカ娘の、とってつけた関係。 短いカットが繰り返される”ジャンプ・カット”が新鮮だった。 「なに、これ!?」という感覚! カメラワークと編集方法で、これまでにない映画を見せつけ、 低予算で世界をやっつけたゴダール!
映画に対する思い入れが随所にちりばめられ、 若者たちの刹那的な生きざまは”息切れ”で幕を閉じる。 ジーンは40歳で天使になり、映画のなかで何度もカッコイイ死にざまを見せてくれた ベルモンドも先日、88歳で鬼籍に入ってしまった。 ゴダールは90歳、未だ”息切れ”をかいくぐっている。
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