1970年 フランス映画 フランソワ・トリュフォー監督 (Domicile conjugal )
恋愛映画はきらい。他人の恋愛をみても面白くも何ともない。 恋は自分でしなくちゃ、というのが持論。でもでも、トリュフォーだけは別。 恋愛を描き続けてきたが、賞賛したい映画作家なのである。
本作は、ジャン・ピエール・レオーが演じたトリュフォーの分身 ”アントワーヌ・ドワネル・シリーズ”の四作目。 そう、”オ”の項で紹介した一作目 『大人は判ってくれない』(’59)に於いて、 家庭の鬱憤のやり場に苦しむ少年アントワーヌの、なれの果てというわけ。 ちなみに間に入るのは『二十歳の恋』(’62) 『夜霧の恋人たち』(’68)そして、本作となるわけだが、 一作だけ観ても十分に楽しませてくれるところがトリュフォー!
タイトル・バックはスタスタと歩く若妻の脚。 これぞ、トリュフォー! ベージュのコート、ベージュのパンプス。 いいじゃないか! 若夫婦の暮らすアパートの路地裏。 ちょっと見慣れない新参者に対し、逞しき想像力を発揮する隣人たちが可笑しい。 トリュフォーは人間を観る、見せる。だから、恋愛劇を描いても、脇が面白いから飽きない。
親の愛を感じられずに大人になったアントワーヌ、 家庭の夫としてこれから、どう生きてゆくのか、 老若男女すべてが心配しちゃうキャラクターよね! トリュフォーの映画愛も其処ここに散りばめられている。 何といっても嬉しいのは、プラットフォームに登場する、 ”ムッシュ・ユロ”のそっくりさんかな!
振りまわされるのが恋愛、繋ぎとめてゆくのが夫婦愛。
”愛”は一生モノだから。
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