1971年 フランス・イタリア合作映画 ピエール・グラニエ・ドフェール監督 (La Veuve Couderc)
シモーヌ・シニョレのような女優はハリウッドには見当たらない。 日本映画史上にも。脇役なら思いつくが、主役を張る人だからねえ!
大柄でがっちり体型、すこし離れた目が本来ならユーモラスなのだが、 瞳の奥に鋭さと険しさが潜んでいる。
さほど抑揚をつけずとも迫力のある太い声は、まさに存在感絶大。
50歳になる頃、当時”美男子”の代名詞であった14歳年下の アラン・ドロンを向こうに回して演じきったのが本作。
何処までも流れて往く川。もの悲しいテーマソング。 田舎道でバスを降りたシニョレ扮するクーデルクは、
ドロン扮する流れ者のジャンと目が合い、二人の運命が交差する。
ロケーションが圧倒的。 この土地のこの光がもたらす、このルック。 何十年まえか、 深夜のノーカット映画劇場か何かで観たきりであり、 細かいメモも残っている。 もう少し政治がらみのストーリーかと記憶していたが、 今回、観なおして、確かに脚本は甘いかなと感じる。 されど、シニョレとドロン、文句はないでしょう!
屈折した恋情が、抑えた色調のなかで交錯する物語。
ニンフォマニアの少女に扮したオッタヴィア・ピッコロのみずみずしい乳房も忘れ難い。
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