1968年 アメリカ映画 フランク・ペリー監督 (The Swimmer)
筋肉隆々の男が林の中から海水パンツ一丁の姿で現われ、 連なる豪邸のプールからプールを泳ぎ、 自宅へ帰ろうとする異色の滑り出しに面食らう。 当時50代であったバート・ランカスターの肉体、すごい。
彼は”エ”の項で紹介した『エルマー・ガントリー』(’60)で、 オスカー(主演男優賞)をゲット。 大柄の肉体美と迫力ある面差しで、 西部劇から口八丁手八丁の役柄まで、 ハリウッドで活躍した男っぽいスターである。
一見、難解と映る作品だが、 発想の転換をすれば、謎解きが出来るはず。 ランカスターがトップレスで登場し、 朝からパーティ三昧のスノッブな世界が映し出されると、 観客のイマジネイションは萎えてしまい、 目のまえにある享楽に捕らえられてしまうが、
ストーリーに切り込まれる罅(ひび)を感じとれば、 本作の絡繰りが見えてくる。
いぎたなく笑い、懲りもせず女を口説き、
水中でサヴァイヴするランカスター。
寓話性に支配された、類型のない人間ドラマである。
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